かける想い -こぐま会代表 久野泰可

40年に亘って他の幼児教育とは一線を画す学習方法「KUNOメソッド」を実践してきた<こぐま会>と、国内でも有数の制作力を誇るアニメーション制作会社<P.A.WORKS>のコラボレーションによって始動したこぐまなびプロジェクトにかける想いを、両社の代表より語っていただきました。

 

こぐま会代表
久野泰可


“考えるプロセス”を育む「事物教育」と「対話教育」

img_kuno01-min幼児教育の授業において一番大切にしているのは具体物を使って物に働きかけるチャンスを作ってあげることです。元々教育は教える者から一方的に知識を提供する側面があり、特に幼児の場合は、何も知らないからすべてを教えてあげる、となりがちです。もちろんそれは重要なことではありますが、それ以上に子どもが自ら知識を獲得しようとしなければ、考える力は育って行きません。知識の詰め込みや一方的なトレーニングではなく、自分から事物に働きかけ試行錯誤をして、その中で解決に至る。“考えさせるプロセス”が必要なんです。

そして物であれ人であれ、子どもの働きかけに反応してあげることも大切です。例えば、積み木を組み上げられずに崩れてしまう。子どもがうまくできない壁をどう乗り越えるのか、その試行錯誤に対して親や教師が反応してあげる。子どもが表現したことに対話をしながら返してあげることが「対話教育」に繋がります。

実際の授業では子どもたちのことを想定して教材やカリキュラムを作りますが、思い通りに進むわけではありません。想定外なことが起きた時に、授業の意図を外さないでどうやって子どもたちに興味を持ってもらうか。いろいろな個性、様々な考えを持った子どもたちの表現に、適切に対応して授業を作り上げていくことを大切にしています。

 

時代にあわせた学習環境と教育メソッド

時代によって子どもたちの文化環境は変動していきます。タブレットPCなど我々の子ども時代にはなかった物があり、それによって生活環境、学習環境、そして子どもたちも変わっています。それはすなわち、学習を受け止める素地も以前とは違うものになってきているということです。

img_kuno02-minもちろん物事を理解する道筋は変わるものではありませんが、変化する環境や子どもたちにあわせて学習内容を変えていくことは必要です。現在「小1プロブレム」が話題になっていますが、子どもたちにとってこれだけ周りに刺激があり、いろいろな興味や関心を持って幼児期を過ごしてきた子どもたちが、味気ない教科書と黒板とノートという世界に入れない。だから集中できないし勝手に廊下に出てしまう。集団的なトレーニングができていない以上に、子どもたちが授業に魅力を感じていないということだと思います。

もちろん教科書や黒板、ノートはツールですから、教え方、教育メソッドが重要になります。それは幼児も同じこと。子どもたちをいかに集中させるか、物に対する興味、あるいは人に対する関心をどう持続させるかを我々は常に考えています。それがこぐま会の「事物教育」や「対話教育」という形なんです。

 

こぐまなびプロジェクトへの期待

教育の基本は対面です。教師がいて子どもたちがいる空間の中で学んでいきます。ただ教育は教室だけで完結するものではありません。家庭生活や遊び、自然との触れあいなど多くのことが学びに繋がっています。その中でアニメーションは、実生活で感じる魅力とはまた違った楽しさがあり、子どもが惹き込まれる要素を多く持っていると思います。幼児の場合、楽しい、面白い、ワクワクすることで集中力が持続しますが、その中に系統立てた教育メソッドを組み込むことで教室以外でも学ぶことができると考えています。

img_kuno03-minまたネットワークやコンピュータ、タブレットPCを使った教育は、それぞれツールとしてのよさをどうやって引き出していくか、また有効な部分と足りない部分を把握して、どのように使い分けていくかが重要だと思います。現在のこぐま会では、教室に来ていただいて授業を行っていますが、どうしても地域が限られてしまいます。家庭での学習や教室に来られない子どもたちにとっては、タブレットPCなどは有効な手段となると考えています。もちろんそれが全てではなく、ひとつのきっかけになって何かを経験してみる、もしくは経験したことをもう一回思い起こして次の学習の素地にしていく。そんなことが生まれるツールになったら嬉しいですね。

ネットワークやタブレットPC、そしてアニメーションとこぐま会の融合は初めての試みですが、その中で今の時代にあった学習環境、そして繋がりが出来ていくことを期待しています。


メッセージ P.A.WORKS代表取締役 堀川憲司